
【映画】すべてをあなたにのあらすじ・キャスト・ネタバレ・感想・評価・レビューなどを徹底解説
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『すべてをあなたに(原題:That Thing You Do!)』は、1996年公開のミュージカル・コメディ・ドラマ映画。
トム・ハンクスの長編脚本・監督デビュー作で、1960年代にビートルズのようなスターを夢見た若者たちを描いた作品です。
あらすじ(ネタバレ込み)
起:小さな町のバンドが大チャンスを掴む
1964年、ペンシルベニア州の小さな町で活動するバンド「ワンダーズ」。メンバーのジミー、レニー、チャド、ベースプレイヤーは、地元で演奏を続けていた。ある日、ドラマーのチャドが怪我をし、代わりにガイが参加。彼の演奏スタイルにより、バンドの楽曲「That Thing You Do!」がアップテンポな仕上がりになり、思いがけずヒットする。
承:成功の階段を駆け上がる
曲が地元ラジオで流れると人気が急上昇し、音楽業界のマネージャー、ミスター・ホワイトにスカウトされる。彼の指導のもと、バンドはプロモーションを展開し、ツアーにも参加。メンバーは初めての成功に興奮し、次々とチャンスを掴んでいく。
転:人気の裏で生じる亀裂
しかし、成功とともにメンバー間の不和が生じる。リーダー格のジミーはアーティスティックな方向を追求し、商業的なアプローチに不満を抱く。一方、レニーは成功に浮かれ遊び歩き、ベースプレイヤーは軍隊に入隊。そんな中、ガイは音楽への純粋な情熱を持ち続けるが、バンドの未来に疑問を抱き始める。
結:バンドの終焉と新たな道
「ワンダーズ」は一夜にしてスターになったものの、レコーディングの最中にジミーが脱退を決意し、バンドは解散。ガイは自身の音楽への想いを再確認し、最終的に音楽プロデューサーとしての道を歩むことになる。短いながらも夢のような時間を過ごした彼らの物語は、切なくも温かい結末を迎える。
『すべてをあなたに』キャスト・作品情報

キャスト
役名 | 俳優 |
---|---|
ガイ・パターソン(ドラマー) Guy Patterson |
トム・エヴェレット・スコット Tom Everett Scott |
ジミー(ボーカル) Jimmy Mattingly |
ジョナサン・シェック Johnathon Schaech |
レニー(ギター) Lenny Haise |
スティーヴ・ザーン Steve Zahn |
ベースプレイヤー(ベース) T.B. Player |
イーサン・エンブリー Ethan Embry |
フェイ・ドーラン(ジミーのガールフレンド) Faye Dolan |
リヴ・タイラー Liv Tyler |
ミスター・ホワイト(マネージャー) Mr. White |
トム・ハンクス Tom Hanks |
ティナ Tina Powers |
シャーリーズ・セロン Charlize Theron |
デル・パクストン Del Paxton |
ビル・コッブス Bill Cobbs |
チャド Chad |
ジョヴァンニ・リビシ Giovanni Ribisi |
スコット(ウルフマン) Scott "Wolfman" Pell |
ラリー・アントニーノ Larry Antonino |
ガイの父親 Mr. Patterson |
ホームズ・オズボーン Holmes Osborne |
作品情報
原題 Original Title |
That Thing You Do! |
---|---|
監督 Directed by |
トム・ハンクス Tom Hanks |
脚本 Writing by |
トム・ハンクス Tom Hanks |
音楽 Music |
ハワード・ショア Howard Shore |
撮影 Cinematography |
タク・フジモト Tak Fujimoto |
編集 Edited by |
リチャード・チュウ Richard Chew |
製作 Produced by |
ゲイリー・ゴーツマン Gary Goetzman ジョナサン・デミ Jonathan Demme エドワード・サクソン Edward Saxon |
製作会社 Production Company |
Clinica Estetico Clavius Base |
配給 Distributed by |
20世紀フォックス |
公開 | 米:1996/10/4 日:1997/2/15 |
上映時間 | 108分 |
興行収入(世界) | 約3459万ドル |
『すべてをあなたに』の見どころ
とにかく「That Thing You Do!」が名曲すぎる
1960年代をイメージして制作され、サウンドトラックは全米でヒットしました。
ボーカルはジミー役のジョナサン・シェックが歌っているわけではなく、歌手のマイク・ビオラによるもの。
映画1本でアルバム1枚分の楽曲が制作され、そのうちのいくつかはトム・ハンクスが自ら作った曲です。
「That Thing You Do!」はアメリカのロック・バンドFountains of Wayne(ファウンテンズ・オブ・ウェイン)のベーシスト、Adam Schlesinger(アダム・シュレシンジャー)が書いた曲で、実際にアメリカのビルボードチャートにもランクインしました。
多忙な中で作り上げた作品

トム・ハンクスは90年代、ヒット作に恵まれ多忙を極めていました。
1993年は『めぐり逢えたら』、『フィラデルフィア』、1994年は『フォレスト・ガンプ/一期一会』、1995年は『アポロ13』に『トイ・ストーリー』の声の出演と、あげた作品すべて観たり聞いたりしたことはあるかと思います。
これだけ多忙の中で少しずつ執筆しながら完成した作品です。
後にトム・ハンクスインタビューで、決して興行的に満足のいく結果ではなかったけど僕自身は、あの映画は今でも大好きだよと述べています。
それだけ思い入れの強い作品だということがわかりますね。
トム・エヴェレット・スコットはこの作品で映画デビュー

主演のトム・エヴェレット・スコットは、『すべてをあなたに』のオーディションを受け、トム・ハンクスは当初スコットを選ぶつもりは無かったそうですが、妻のリタ・ウィルソンに説得されて主演に抜擢されました。
今でこそ『ラ・ラ・ランド』やドラマ『13の理由』などヒット作にも多く出演していますが、原点はここだったんですね。
他にも、今でこそ大女優のシャーリーズ・セロンはガイのガールフレンド・ティナ役で出演していますが、ちょい役です。
映画出演3作目がこの作品なんですね。今にして思えばシャーリーズ・セロンがちょい役っていうのもすごいなと思いますが、ブレイク前だというのがよくわかります。

The Wonders全員実演ではない

The Wondersを演奏していた4人の俳優は、演奏の感触を得るために8週間バンドとしてリハーサルをしました。
しかし、映画の中の彼らのパフォーマンスのほとんどは他のミュージシャンによって吹き替えられています。
未経験であれば2ヶ月で習得するのもなかなか難しいですからね。
ビートルズと多くの共通点を持っている

トム・ハンクスは「The Wonders」にビートルズと多くの共通点を持たせ、映画に遊び心を加えています。
例えば、
・Wondersのオリジナルバンド名(The Oneders)は、音楽の命名法を含む言葉の戯曲ですが、Oneを「ワン」と読まれず、ザ・オニーターズと呼ばれてしまったためスペルを変えています。
・「That Thing You Do!」はスローバラードのスピードアップ版です(ビートルズの場合は「Please Please Me」)。
・最初のドラマーがメンバーチェンジしてから、人気に火がつきました。
・どちらもオリジナルのベース奏者を失います(ビートルズはスチュアート・サトクリフが亡くなり、The Wondersのベーシストはウルフマンに変わりました)。
『すべてをあなたに』レビュー・評価
海外での評価
映画とテレビのレビューアグリゲーターであるRotten Tomatoes(ロッテン・トマト)では、今のところ56のレビューがあり、批評家支持率は93%と、肯定的なコメントがほとんど。
主な内容としては、「トム・ハンクス監督のための軽くて甘い、そして完全に面白いデビュー、それが複雑さに欠けているものを魅力的に補っている」と書かれています。
ただ興行収入は3400万ドルと決してヒットしたとは言えない数字でした。
日本での評価
映画.comでの評価は6件中4.2とこちらは高評価。
映画レビューサイトFilmarksでは223件のレビューで3.6と、平均と言えば平均ですが、悪い評価ではなさそう。
作品の知名度の問題がありそうです。数字だけを見ると、作品を観れば気に入る方は多いと思います。
『すべてをあなたに』のトリビア
- 初期の脚本では、バンドの崩壊がより暗く描かれていましたが、最終的に軽快で温かみのあるコメディ要素が強調された作品に仕上がりました。
- トム・ハンクスの妻リタ・ウィルソンが小さな役で出演。また、彼の息子コリン・ハンクスもカメオ出演しています。
- 「Play-Tone」という架空のレーベルが登場しますが、これは実際の音楽業界をモデルにしており、後にトム・ハンクスはこの名前で自身のプロダクション会社を設立しています。
- エンドロールでは各キャラクターのその後が紹介されており、主人公ガイは最終的に有名なジャズドラマーとして成功を収めたことが明かされています。
- レニー役のスティーヴ・ザーンは熟練した歌手兼ギタリストとして知られており、2001年の映画『マテリアル・ウーマン』でもギターを弾き、歌っています。
- トム・ハンクスは、ノンストップのインタビューに退屈したため、『フォレスト・ガンプ』のプロモーション・ツアー中に脚本を書いたと述べています。
- ワンダーズがピッツバーグのボス・ヴィック・コスのショーで演奏しているとき、劇場の看板に掲げられたバンド名の1つに「マリリン・ラヴェル & ザ・ジェミニス」という名前がありました。これは、『アポロ13』でトム・ハンクスが演じた、アポロ13号の宇宙飛行士ジム・ラヴェルの妻とNASAの宇宙計画へのオマージュです。
- アダム・シュレシンジャーはスタジオが開催したコンテストに応えてタイトル曲を書きました。彼らの曲が優勝し、映画で使用されました。映画は彼らの最初のアルバムの直後に公開されました。
まとめ
『すべてをあなたに』について色々まとめてみました。
至ってシンプルな内容で、よくある話でもあるんですが、トム・ハンクスはどうしても描きたかったんでしょうね、細部にまでこだわりが感じられる作品です。
楽曲そのものがいいですし、ベタなシンデレラストーリーでもたまには観たくなりますよね?
音楽がいいと作品全体のクオリティも上がりますし、気軽な気分で観られるのでおすすめしたい作品です。
1960年代の雰囲気だけでも楽しみたい方は特に必見かもしれません。
しかし残念ながら、20年以上前の作品のせいか、現在動画配信サービスで観られるところはなさそうです。
DVDやビデオを持っている方は今一度掘り起こして観てみると懐かしいですよ。