
【映画】きっと、うまくいくのあらすじ・キャスト・ネタバレ・感想・評価・レビューなどを徹底解説
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『きっと、うまくいく(原題:3 Idiots)』は、2009年公開インドの成長コメディドラマ映画。
公開当時、インド映画歴代興行収入1位を記録し、2013年に公開された日本では第37回日本アカデミー賞では優秀外国作品賞を受賞するほどの話題作で多くのレビューサイトで高評価を叩き出している作品です。
あらすじ(ネタバレ込み)
起:大学で出会った3人の親友
名門工科大学ICEに入学したファルハーン、ラージュー、そして型破りな天才ランチョー。ファルハーンは写真家を夢見ながらも父親の期待に応えるために工学を専攻し、ラージューは貧しい家庭を支えるために必死に勉強している。そんな2人とは対照的に、ランチョーは既存の教育システムに疑問を持ち、「知識を得ること」を大切にする自由な発想の持ち主だった。彼のユニークな考え方と型破りな行動は、厳格な学長ウイルス(ヴァイラス)を怒らせながらも、友人たちの人生に大きな影響を与えていく。
承:友情と試練、恋の始まり
ランチョーの型破りな行動は、学長の娘ピアとも接点を持つことに。彼はピアが親の言いなりになって無理に結婚しようとしていることを知り、彼女の本当の気持ちに気づかせる。一方で、ランチョーの考え方に感化されたファルハーンは、ついに自分の夢を追いたいと決意し、ラージューも恐れずに自分の道を選ぼうとする。しかし、学長の圧力や厳しい現実が彼らを苦しめ、特にラージューは重圧に耐えきれず自殺を試みる。しかし、ランチョーとファルハーンの支えで立ち直り、仲間との絆はさらに深まる。
転:ランチョーの突然の失踪と真実
卒業後、ランチョーは突然姿を消し、どこへ行ったのか誰も知らない。10年後、ファルハーンとラージューは、かつてのライバル・チャトルの挑発を受けて、ランチョーを探す旅に出る。彼が残した手がかりを追ううちに、驚くべき事実が判明する。ランチョーは実は裕福な家の息子ではなく、使用人の子供だった。本当のランチョーの代わりに大学へ通い、学んでいたのだ。さらに彼は、教育のために新しい方法を研究し続けていた。
結:夢を叶えた友人たちと「きっと、うまくいく」
ランチョーを探し続けたファルハーンとラージューは、ついに彼が秘境で学校を運営していることを突き止める。彼は「フンスク・ワングル」という名前で教育活動を行い、貧しい子供たちに革新的な方法で学びを提供していた。そこへチャトルも現れ、自分が大成功したことを誇示するが、ランチョーの正体が世界的な発明家であることを知り、驚愕する。再会を果たした3人は、変わらぬ友情を確認し、「きっと、うまくいく(Aal Izz Well)」の言葉とともに、新たな人生へと進んでいくのだった。
『きっと、うまくいく』キャスト・作品情報

キャスト
役名 | 俳優(吹替) |
---|---|
ランチョー Rancho |
アーミル・カーン Aamir Khan |
ファラン・クレイシー Farhan Qureshi |
R・マドハヴァン Madhavan |
ラージュー・ラストーギー Raju Rastogi |
シャルマン・ジョシ Sharman Joshi |
ピア・サハスラブッデー Piya Sahastrabuddhe |
カリーナ・カプール Kareena Kapoor |
ヴィールー・サハスラブッデー Dr. Viru Sahastrabuddhe |
ボーマン・イラニ Boman Irani |
チャトル・ラーマリンガム Chatur Ramalingam |
オミ・ヴァイディア Omi Vaidya |
モナ・サハスラブッデー Mona Sahastrabuddhe |
モナ・シング Mona Singh |
スハース・タンドン Suhas Tandon |
オリヴァー・サンジェイ・ラフォント Olivier Sanjay |
マンモーハン Manmohan |
ラフル・クマール Rahul Kumar |
ジョイ・ロボ Joy Lobo |
アリ・ファザル Ali Fazal |
作品情報
原題 Original Title |
3 Idiots |
---|---|
監督 Directed by |
ラージクマール・ヒラーニ Rajkumar Hirani |
脚本 Writing Credits (Screenplay by) |
ラージクマール・ヒラーニ Rajkumar Hirani アビジャート・ジョーシー Abhijat Joshi ヴィドゥ・ヴィノード・チョープラー Vidhu Vinod Chopra |
原作 Writing Credits (Based on) |
チェータン・バガト(Five Point Someone) Five Point Someone by Chetan Bhagat |
音楽 Music |
シャンタヌー・モイトラー Shantanu Moitra |
撮影 Cinematography |
C・K・ムラリーダラン C. K. Muraleedharan |
編集 Edited by |
ラージクマール・ヒラーニ Rajkumar Hirani |
製作 Produced by |
ヴィドゥ・ヴィノード・チョープラー Vidhu Vinod Chopra |
製作会社 Production Company |
ヴィノード・チョープラー・フィルム |
配給 Distributed by |
印:リライアンス・エンターテインメント 日:日活 |
公開 | 印:2009/12/25 日:2013/5/18 |
上映時間 | 171分 |
制作費 | 3億5000万ルピー |
興行収入(世界) | 38億5000万ルピー |
興行収入(日本) | 1億5000万円 |
『きっと、うまくいく』の見どころ
インドの名優アーミル・カーン

トリオの中でも中心のランチョを演じるアーミル・カーンはインドを代表する国民的俳優です。
アーミル・カーンは米『タイム』誌が「世界で最も影響力のある100人」にも選出されたことのあるトップスターです。
2008年には『ガジニ』、2009年には『きっと、うまくいく』、2013年には『チェイス!』、2014年には『PK」』、そして2016年には『ダンガル きっと、強くなる』と5本の主演作品でインド映画の全世界歴代興行収入1位を5回達成するという驚異的な記録の持ち主です。
ボリウッド(ムンバイのインド映画産業全般につけられた俗称)では文句なしのトップスターの彼は常に完璧を求める俳優としても有名で、作品選びに妥協しないため出演する作品はおもしろいものばかり。そんな彼が主演を務めていると言うだけで見る価値のある作品なんです。
役作りにストイックな彼。当時44歳でありながら大学生を演じるにあたり、かなりダイエットをしたそうです。また最近の作品では日本で2018年に公開された『ダンガル きっと、強くなる』でも相当トレーニングで体を鍛えています。彼の独特の演技に注目です。
インド映画の魅力満点

なんと上映時間が3時間近くもあるこの作品。長いと思いきや、見始めてしまうとあっという間です。
ヘビロテしそうな音楽に、ダンスに、インドの魅力が詰まっていて、気づいたら終わっています。インド映画を見たことがない人に特におすすめです。
日本アカデミー賞まで受賞したインド映画!

インドではなんと公開当時史上歴代1位の興行収入、インドアカデミー賞では史上最多16部門を受賞しました。(2019年5月時点でのインド歴代興行収入ランキングでは13位)
さらにインドにとどまらず、日本で公開されたインド映画の中で歴代トップクラスの興行収入を記録し、日本アカデミー賞でも優秀外国作品賞を受賞。「ボリウッド映画ブーム」のきっかけの一つとなりました。
また『E.T.』や『ジュラシック・パーク』のスティーブン・スピルバーグ監督も「3回も観るほど大好きだ」と絶賛しており、世界的に評価の高い作品となっています。
バカトリオを取り巻く社会問題

超エリート理系学校に通うバカトリオが主人公で、コメディ満載な一方で、彼らを取り巻く、学歴社会・格差社会、そして自殺などシリアスな問題も描かれており、インドの教育に対する態度に社会的な影響を与えました。
日本にも通じるところがあり、共感できる部分がかなり見応えがあります。
爽快なエンディング

『きっと、うまくいく』の魅力の一つは、爽快なエンディングにあります。映画全体を通して、主人公たちは厳しい競争社会や理不尽な圧力に苦しみながらも、それぞれが自分の道を模索し、成長していきます。
特に、自由な発想を大切にするランチョー、写真家になる夢を諦めなかったファルハーン、恐れを乗り越えて人生を切り開いたラージューの姿は、観る者の心を揺さぶります。
そして、彼らが10年の時を経て再会し、それぞれの道で成功を収めていたことが明らかになるラストシーンは、まさにカタルシスそのもの。型破りな天才ランチョーが教育の革新者として新たな人生を歩み、かつてのライバル・チャトルすら驚かせる展開には思わず笑みがこぼれます。
夢を追い続けた者たちが自分らしい幸せを手に入れ、最後に「Aal Izz Well(きっとうまくいく)」と笑い合う姿は、観る者に前向きな気持ちと勇気を与えてくれる、最高に気持ちのいいエンディングです。
『きっと、うまくいく』レビュー・評価
海外での評価
映画とテレビのレビューアグリゲーターであるRotten Tomatoes(ロッテン・トマト)では、今のところ15人の批評家のレビューの100%が肯定的で、平均評価は7.3/10と大絶賛。
他にもウェブサイト「Metacritic」には4件のレビューがあり、加重平均値は67/100と結構高めな評価と言えます。
米Variety誌のデレク・エリーは「『3 Idiots』はゲームプランを展開するのに時間がかかるが、後半で感情的に報われる」と評価。
ロサンゼルス・タイムズのロバート・アベールは「避けられない生きる喜び(ランチョの瞑想的なマントラ「すべてはうまくいく」に象徴される)と演技の魅力があり、この映画はより自然に社交的なボリウッドの輸入作品の1つになっている」と評価しています。
日本での評価
映画.comでの評価は353件中4.3とかなりの高評価。
映画レビューサイトFilmarksでは29,002件のレビューも同じく4.3と高評価。
ページ内で自動生成されている「みんなの反応」では、「インド映画に偏見がある人にこそ観てほしい作品。インド映画の中でもとても見やすい作品」、「社会問題を盛り込みつつ軽快な展開とダンスも程々にいいバランス」、「それは訓練で、教育じゃない」といいコメントばかりとなっています。
『きっと、うまくいく』のトリビア
- 本作はチェータン・バガットの小説『Five Point Someone』を基にしていますが、映画ではストーリーやキャラクターが大幅に変更されています。
- 映画の舞台となるICE(帝国工科大学)のシーンは、インド工科大学(IIT)やバガル・エンジニアリング・カレッジで撮影されました。
- 名フレーズとなった「Aal Izz Well(きっとうまくいく)」は、インドで流行語となり、多くの人が励ましの言葉として使うようになりました。
- 映画に登場する「お産キット」などのユニークな発明品は、実際にインドの工科大学の学生によって開発されたもの。
- 学生寮での「ズボンを脱げ!」のシーンは、実際の大学の寮文化を反映したものだとされています。
- ファルハーンの家には多くの動物が登場しますが、これも彼が動物写真家になりたかったことを象徴しています。
- ラージューが窓から飛び降りるシーンはワンテイクで撮影され、そのリアルな衝撃で多くの観客が感情移入しました。
- ランチョーのキャラクターは、実際にインドの著名な発明家・起業家であるソーヌム・ワングチュクをモデルにしています。
- ランチョーが教授に「定義の暗記ではなく、実践が大事だ」と説明するシーンは、アーミル・カーンのアドリブが加わって生まれました。
- チャトルを演じたオミ・ヴァイディアは、実際にはマハーラーシュトラ州出身で、ヒンディー語のアクセントを練習して撮影に臨みました。
- ラージューの家族のシーンでは、俳優シャルマン・ジョシが撮影前に実際に自身の家族のことを思い出して涙を流したそう。
- ランチョーの正体がラストで明かされる展開は、原作にはない映画オリジナルの設定です。
- ボリウッド映画には珍しく、本作のダンスシーンは少なめ。しかし、劇中歌はストーリーの進行に合わせて緻密に配置されています。
- 映画のエンドクレジットには、キャストやスタッフの幼少期の写真が映し出され、映画のテーマとリンクする演出になっています。
まとめ
『きっと、うまくいく』について色々まとめてみました。
Aal Izz Well(アール・イーズ・ウェル)…きっと、うまくいく。
インド映画の興収記録を塗り替えたという事実もあるため期待値の高い状態で観ましたが、期待通り、いや期待以上に抜群の面白さのある作品でした。171分もあるとは思えません。
AmazonプライムビデオやU-NEXT、Huluなどいくつかのサブスクでも観られる様なので、気になった方は是非観て頂きたいです。
もしこの記事をご覧になった方で印象的なシーンなどありましたら、是非コメントお待ちしてます。